楽天市場の経営に役立つフレームワークの使い方を解説
楽天市場では競合他店舗が多く出店しているため、自社独自の強みを生かす必要があります。
価格なのか、サービスなのか、またはショップのコンセプトなのかなど、何で勝負するかは店舗運営者次第です。
しかし、経営戦略を検討する際には情報の「見える化」が必要であり、そのためにフレームワークを使うことがあります。
本記事では、楽天市場の経営に役立つフレームワークの使い方について解説します。
AISAS・AISCEAS
AISAS・AISCEASとは消費者の5つの行動プロセスを可視化するために用いられるフレームワークです。
もともとは下記5つの要素で構成されるAIDMA(アイドマ)から派生したものになります。
- A:Attention(注意)
- I:Interest(関心)
- D:Desire(欲求)
- M:Memory(記憶)
- A:Action(行動)
AIDMAと比べて、AISAS・AISCEASはWebサイトやSNSでの情報発信に特化しているフレームワークです。
下記はAISAS・AISCEASを構成する要素です。
AISAS
- A:Attention(認知)
- I:Interest(興味・関心)
- S:Search(検索)
- A:Action(購買)
- S:Share(共有)
AISCEAS
- A:Attention(注意)
- I:Interest(興味・関心)
- S:Search(検索)
- C:Comparison(比較)
- E:Examination(検討)
- A:Action(行動)
- S:Share(共有)
楽天市場において、AISAS・AISCEASはより効率良くマーケティング戦略や事業運営の際に用いられます。
どのようなユーザーがどのような行動を起こすのかが分かれば、おのずと何をするべきなのかが見えてくることでしょう。
CPM・RFM・デシル分析
CPM・RFM・デシル分析とは、ECサイトの顧客分析の際に活用されるフレームワークです。
こちらでは、それぞれのフレームワークについてご説明します。
CPM分析
CRM(Customer Portfolio Management)分析とは、主に顧客育成を実現するために用いられるフレームワークです。
「購入頻度」「購入金額」「最終購入日からの経過日数」「直近の購入日から経過した日数」の4軸で、顧客を分類します。
初回購入者やリピーターなど、顧客と呼ばれるユーザーは多くいます。
店舗にもよりますが、初回購入者のうち数割が2回目以降購入されなくなることがあります。
また、直近の購入日から長期間経過したユーザーがいることも、収益を低下させる要因となるものです。
それぞれのユーザーに合った商品紹介やクーポンの配信を行うなど、最適なアプローチを行うためにCPM分析を行います。
RFM分析
RFM分析とは、下記3指標を独自にスコアリングして、グループ分けをする分析方法になります。
- 直近の購買日(Recency)
- 購買頻度(Frequency)
- 購買金額(Monetary)
スコアを決めたあとは、優良層や離脱層など自社独自の基準にてユーザーをグルーピングします。
先述したCPM分析と比較すると、購入期間を設けていない点が特徴です。
グループの比率が分かることで、どのユーザー層に注力するべきなのかが分かることでしょう。
デシル分析
デシル分析とは、購入履歴を参照して全ユーザーの購入金額を高い順に10段階に分けてランク付けを行う方法です。
こちらを行うことで、自店舗で購入する方の客単価を理解することができます。
収益を上げるためには、多くのユーザーを集客することと客単価を上げることが重要です。
そのため、デシル分析を行うことで売り上げ貢献度の高い層を発見することができます。
ただし、デシル分析は購入頻度を考慮しない分析方法であるため、その点には注意が必要です。
カスタマージャーニーマップ
カスタマージャーニーマップとは、ユーザーの日常生活から購入の検討を経て、購入に至るまでの流れを包括的にとらえるものです。
ユーザーが商品やサービスを知ってから購入に至るまで、下記の流れで進行すると考えられます。
- LPや検索結果から、商品を知る
- 類似商品と比較する
- 購入後の評価やレビューを参照する
- 購入・契約する
- アンケートや評価・レビューに記載する
楽天市場をはじめとするEコマースでは、見込み顧客を顧客化し、自店舗のファンとなってもらう必要があります。
そのためにはユーザーの体験について、一貫性を持って育成(ナーチャリング)することが重要です。
近年、ユーザーは比較サイトやSNSなど、さまざまな媒体から情報を取得します。
そのなかにはポジティブなものだけではなく、ネガティブなものも含まれています。
そのため、企業は自社の商品やサービスだけではなく、自社自身のブランド価値を向上させる必要があります。
商品の購入や利用に至るまでの行動プロセスを明確にしたり、商品情報を明文化したりするだけでは情報が一方通行です。
カスタマージャーニーマップを利用することで、ユーザーがどのようなプロセス・感情で購入に至るのかを明確化できます。
同じ商品を取り扱っていても、カスタマージャーニーマップによって購入率が変わってくることがあります。
楽天市場においては商品情報はもちろん、CTAや店舗ページの構築などを行って差別化を図りましょう。
4P・4C分析
4P分析は企業側の視点、4C分析はユーザー側の観点からマーケティングをとらえるために用いられるフレームワークです。
こちらでは、それぞれについて解説します。
4P分析
4P分析とは、下記4つの要素で構成されるフレームワークです。
- Product(製品)
- Price(価格)
- Place(流通)
- Promotion(販促)
これらをまとめると、どのような商品をどのような価格で、どのように販売・販促するかを決める要素となるのです。
楽天市場の場合、販売経路は楽天市場内で固定されていますが、それ以外の戦略を検討する必要があります。
低価格で攻めるのか、見せ方で攻めるのか、SEO・広告のどちらで集客するのかなどが挙げられます。
そのためには自店舗だけではなく、競合他店舗やほかのECモールなどの情報が必要となります。
4C分析
一方、4C分析は先述の通りユーザー目線のフレームワークであり、下記の4要素で構成されます。
- Customer Value(顧客価値)
- Cost(経費)
- Convenience(顧客利便性)
- Communication(コミュニケーション)
これらをまとめると、ユーザーが受け取る価値や費やす時間・お金、ユーザーが情報を得る媒体を具体化することができます。
顧客価値については、その商品を購入することでどのような体験ができるのか、どのような効果を得られるのかが含まれます。
多くのユーザーは同じ商品を購入する際、安ければ安いほどお得感を得るものです。
また、ページの使いやすさ・見やすさや情報を得る媒体なども、4C分析では検討します。
5W2H
当記事をお読みの方のなかには、「5W1H」という言葉を聞かれたことがある方がいらっしゃると思います。
下記が5W1Hに含まれる要素であり、情報を整理する際に役立つフレームワークです。
- Who(誰に)
- When(いつ)
- What(何を)
- Where(どこで)
- How(どうやって)
- Why(なぜ)
5W2Hの場合、上記に「How much(いくらで)」を追加したものになります。
たとえば、5W2Hは下記のように使われます。
- Who:敏感肌のユーザー
- When:乾燥しやすい季節
- What:肌にやさしい成分の保湿クリーム
- Where:楽天市場上
- How:スーパーセール経由
- Why:付加価値が付いた保湿クリームを欲している
- How much:他店舗と価格は同じだが、スーパーセール摘要のため価格を抑えている
このように、5W2Hを利用することでターゲットや販売方法を明確化することができます。
また、場合によっては5W2Hに「How many(規模)」を追加した、「5W3H」を用いることがあります。
これらを網羅することによって、情報整理や伝える順番を整えることができます。
まとめ|フレームワークは使うことで真価を発揮する
今回は、楽天市場の運営時に使われることが多いフレームワークについて解説しました。
下記、楽天市場で多くの店舗運営者が使用しているフレームワークです。
- AISAS・AISCEAS
- CPM・RFM・デシル分析
- カスタマージャーニーマップ
- 4P・4C分析
- 5W2H
これまであいまいだったユーザーやターゲット、ターゲットの行動を明確化することができます。
間違えていればほかのフレームワークを使用したり、同じフレームワークを使用して再考したりしましょう。
自店舗のユーザーを明確にすることで、打つ手を考えられるためフレームワークを使用することをおすすめします。