Qoo10における「配送遅延ペナルティ」について解説
ECモールで購入する際、多くの人が気にするのが「発送日」と「到着予定日」です。
購入した商品がいつになったら届くのか、多くのユーザーはワクワクしながらその日を待っていることでしょう。
しかし、店舗のなかにはルーズな管理体制により、さまざまな理由で発送していないといったところがあります。
そのような場合、ユーザーは泣き寝入りするわけではなく、Qoo10が店舗にしっかりとペナルティを課しています。
こちらの記事では、Qoo10における「配送遅延ペナルティ」について解説します。
Qoo10における「配送遅延ペナルティ」とは?
Qoo10における「配送遅延ペナルティ」とは、Qoo10が独自に設けている配送ルールを守らなかったとき、お店に課せられる罰則になります。
ユーザー目線におけるEコマースは、商品を注文してから一定期間待つと、自宅や指定場所に商品が届く流れです。
この「指定期間」は店舗やモールによりさまざまで、数日の場合もあれば数週間以上かかることもあります。
これらは店舗側がページ内などに提示しているものであり、ユーザーは納得のうえで購入します。
そのため、納品日についてはユーザーと店舗間で交わす「約束」のようなものと言い換えられるでしょう。
では、納品日を過ぎても納品されない、つまり約束を破ってしまうと、どうなるのでしょうか?
結論として、Qoo10から店舗に対してペナルティが課せられます。
下記はQoo10の配送遅延ペナルティに抵触する可能性が高い行為のため、注意しましょう。
- 商品の発送時に遅延が生じることがある
- セール時に注文が集中し、お客さまを待たせてしまうことがある
- 商品の「発送可能日」を細かくチェックしていない
配送遅延が発生しやすいタイミングとしては、メガ割などのイベント期間が挙げられます。
イベント時には多くのユーザーがアクセスし、店舗には通常営業日以上に多くの注文が舞い込んできます。
受発注管理や梱包作業の量が増加し、運送業者の集荷時間に間に合わなくなった結果、配送遅延が発生してしまいます。
配送遅延は機会損失となるだけではなく、ユーザーの信頼を低下させてしまい、迷惑をかけるため避けなければなりません。
配送遅延ペナルティを避けるためには発送可能日を確認することが重要ですが、ついつい見逃してしまいがちです。
しかし、納期を守ってしっかりと発送日に配送している店舗は、しっかりと管理をしています。
優良店と思ってもらえるように、忙しいときこそ発送日はしっかりと確認しておきましょう。
「配送遅延」と「配送遅延ペナルティ」
Qoo10のなかには、「配送遅延」と「配送遅延ペナルティ」と呼ばれるものがあり、それぞれの意味合いが異なります。
配送遅延とは、入力された発送予定日を過ぎてしまった注文を指すもので、管理画面上で設定する日付です。
たとえば、発送予定日を12/1に設定していて、実際には12/3に発送した場合、発送遅延となります。
予定日を過ぎてしまった注文を配送遅延といい、遅延が発生すると、ユーザーはショップの承認なしにキャンセルできてしまいます。
ユーザーからすると勝手に配送が遅延してしまったので非はなく、店舗の責任となり、機会損失が発生します。
一方、配送遅延ペナルティは商品登録時に設定した発送可能日を過ぎた注文に適用されます。
たとえば、発送可能日を3日以内に設定したにもかかわらず、4日目に発送した場合は発送遅延ペナルティになります。
発送遅延ペナルティは一般商品と予約商品で異なります(詳細は後述)。
いずれの場合も、ペナルティの度合いは遅れた日数に応じて変動します。
要約すると、配送遅延はユーザーと約束した日時、配送遅延ペナルティは登録した日時をベースにしているといえます。
配送遅延ペナルティの種類
配送遅延ペナルティには、下記のように「注意」「警告」「制限」の3段階が設けられています。
注意
最初の段階である注意では、Qoo10から自動で「商品を発送してください」と促す内容のメールが送られます。
配送可能日を過ぎる可能性が高い商品があるときに伝えることが目的で、早めに商品を発送しましょう。
警告
注意のメールを受け取っても商品が発送されない場合は、次の段階である警告に進みます。
警告では「配送遅延ポイント」として、2点が月間の配送ポイントから差し引かれます。
「配送遅延ポイント」とは?
配送遅延ポイントはサービスポイントの一部であり、店舗のレベルを判断するために用いられる要素です。
ポイントについては下記の手順で確認でき、ポイントが多いほど優良店といえます。
- 「J・QSM」にログイン
- 「基本情報」→「マイレベル&点数」をクリック
Qoo10ではショップのレベルが3段階設けられており、「一般」→「優秀」→「パワー」の順に高くなります。
一般については特に条件は設けられていませんが、優秀とパワーは下記の条件をクリアしなければなりません。
①昇格ポイント
レベル |
直近12ヶ月の累計取引金額 |
サービスポイント (前月) |
その他の条件 |
優秀 |
1,000,000円以上 |
マイナスではない |
優秀セラーの維持基準を満たす |
パワー |
5,000,000円以上 |
マイナスではない |
パワーセラーの維持基準を満たす |
②レベルの維持基準
レベル |
前月基準の取引金額 |
サービスポイント(前月) |
優秀 |
100,000円以上 |
マイナスではない |
パワー |
500,000円以上 |
マイナスではない |
配送遅延ポイントについてはサービスポイントに影響し、マイナスになると一般レベルに下がってしまいます。
なお、マイナスポイントについては次月に持ち越されず、当月内で一旦リセットされます。
制限
最も重い制限ペナルティが課せられると、商品の販売が停止される可能性があります。
また、商品に対する広告プロモーションを実施していた場合でも、販売停止とあわせて中止になってしまいます。
制限ペナルティについては31日目に自動で解除されますが、1ヶ月間の売上が丸々0円になります。
最も重いペナルティである制限になってしまうと、1ヶ月間受注を得られなくなるだけではなく、顧客離れが進行してしまいます。
なかにはまた戻ってきてくれるユーザーもいますが、基本的には帰ってこないものと考えておいた方が良いでしょう。
Qoo10をはじめとするビジネスでは新規顧客や既存顧客の集客も重要ですが、休眠顧客を呼び戻すことも重要です。
しかし、休眠顧客に再度購入してもらうためには、離れた理由を解決しなければなりません。
その理由が「信頼の欠如」だった場合、よほど魅力的な特典を付けなければ戻ってこないでしょう。
結果、他店舗に流れたユーザーを呼び戻せないことから費用対効果が合わなくなるため、ペナルティは何としても回避しましょう。
一般商品・予約商品別に見るペナルティ
下記は、一般商品・予約商品における、具体的にペナルティを課せられる条件になります。
|
一般商品 |
予約商品 |
注意 |
入金日から3営業日目に未発送商品がある場合、発送を促すメールが当日(3営業日目)に送信 |
予約日当日に未発送商品がある場合、発送を促すメールが予約日当日に送信 |
警告 |
入金日から4営業日以内に発送されない商品がある場合、翌日(5営業日目) に発送遅延ポイント-2点が減点 |
予約日から2日以内に発送されない商品がある場合、翌日(3日目)に当該未発送商品1件につき発送遅延ポイント-2点が減点 |
制限 |
入金日から5営業日以内に発送されない商品については、入金日基準で発送率が95%以下の場合、翌日(6営業日目)に当該遅延商品の販売制限とプロモーションの制限 |
予約日から3日以内に発送されない商品については、予約日基準で発送率が95%以下の場合、翌日(4日目)に当該遅延商品の販売制限とプロモーションの制限 |
参考ページ:Qoo10ホームページ「配送遅延/キャンセル ペナルティ」
配送遅延ペナルティの回避方法
では、配送遅延ペナルティを回避して、ユーザーとの信頼関係を維持するにはどうすれば良いのでしょうか?
こちらでは、配送遅延ペナルティの回避方法をご紹介します。
発送可能日をチェックする
一般商品は営業日数でカウントし、土日祝日は休日のためカウントされません。
3営業日以内が一般商品の発送可能日であるため、たとえば月曜に受注した場合は当週の木曜日までに発送する必要があります。
一方、金曜日に受注した場合は土日を挟むため、発送期限は翌週水曜日です。
発送可能日は短くすることもできますが、どの店舗も余裕を持って配送したいため、3営業日以内に設定しています。
基本的に、受注管理については毎日行う作業ではありますが、万が一の見落としがあるかもしれません。
発送日を近い順に並べて確認するためには、下記の設定に変更しましょう。
- QSM内にある配送管理画面にアクセスする
- 「配送要請(詳細を見る)」をクリックして「新規注文」を確認
- 注文リストが表示されたら、「グリッドの設定」をクリック
- 下にスクロールして「発送開始日」を選択すると、期限が近いものから表示される
これらのリストを確認し、日付が最も早いものから順に発送することで、ペナルティを避けることができます。
顧客都合の場合は都度申告する
配送遅延のなかには、店舗側ではなくユーザー側の申請により、発送できないことがあります。
「誤って注文してしまった」や「やっぱりいらない」といった理由が、ユーザー起因の問題です。
しかし、ユーザーが購入履歴から「キャンセル申請」ボタンを押さない限り、店舗側の問題ととらえられます。
そのため、キャンセル完了までに時間が経過し、結果として配送遅延ペナルティが発生することがあります。
また、配送先の住所に誤りがあったことにより、ユーザーに確認しなければならないケースもユーザー起因の問題といえます。
ユーザー都合でペナルティが発生した場合でもショップ側では解除できないため、Qoo10に問い合わせて解除を依頼しましょう。
QSM内にある「Qoo10へお問い合わせ」をクリックして、「お客様都合」で配送遅延ペナルティが発生したことを伝えます。
注文番号を伝えて、了承を得られた場合にペナルティを回避できます。
お届け希望日を設定する
「お届け希望日」とは、ユーザーが商品を注文する際に、〇日に届けてほしいという旨を店舗に依頼するものです。
日中仕事に出ていて受け取れない会社員などに利用されているサービスであり、こちらは店舗で設けることができます。
本来は3営業日以内に配送しなければペナルティになりますが、たとえば入金後〇日以内に発送するような条件を設けられます。
こちらを設定することにより、3営業日を過ぎてもペナルティを受けなくなるのです。
とはいえ、備考欄に記載された配達日に配送した場合でも、発送可能日を超えた際はペナルティ対象になります。
そのため、お届け希望日があるユーザーに対しては、ページ内に上記の処理をしてもらうように記載しておくことをおすすめします。
年末年始などの大型連休に注意する
年末年始、ゴールデンウィーク、お盆期間中といった大型連休時は、基本的に営業日としてはカウントされません。
この時期は入金から発送までの日数がカウントされないことがありますが、それでも発送可能日に影響することがあります。
たとえば、お盆前日の注文でもお盆期間の日数がカウントされるため、お盆期間中に発送しなければなりません。
一般商品の場合は特に問題ありませんが、予約商品の場合は大きな影響を受けてしまいます。
そのため、大型連休中の期間だけ、予約商品を一般商品に変えておく、というテクニックがあります。
ユーザー起因のキャンセルの場合
キャンセルのなかにはユーザー都合である「顧客都合」と、店舗の責任である「販売店都合」の2種類があります。
顧客都合によるキャンセルの場合でも、正しい処理を行わなければ店舗側の責任となってしまいます。
下記は、顧客都合のキャンセルが発生した場合の処理方法になります。
- 左のメニューバーの【配送/キャンセル/未受取】をクリック
- 「キャンセル要請」の数字をクリックし、キャンセルする注文を選択
- リストに表示された注文をダブルクリック
- キャンセル理由を確認し、青いバー内にある「キャンセル」をクリック
ただし、すべてのユーザーがキャンセル要請をしてくれるとは限りません。
なかには操作方法が分からず、電話でキャンセルしてほしいと連絡が入ることもあるでしょう。
そのような場合、先述した「Qoo10へお問い合わせ」から、注文番号とあわせて顧客都合のキャンセル処理を行います。
キャンセルを減らす方法
これまでは遅延することによるペナルティや、キャンセルが発生したときの方法についてご説明しました。
しかし、キャンセルの際にはさまざまな作業が発生するほか、お金を生まないためできるだけキャンセルはしてほしくないものです。
結論として、工夫次第でキャンセルを減らすことができます。
下記にて、Qoo10で受注したオーダーに対するキャンセルを減らす方法をご紹介します。
発送予定日を入力
Qoo10の配送管理は、「入金待ち」「新規注文」「配送準備」「配送遅延」の4つのステータスに分かれています。
始めはユーザーの入金待ちですが、入金が確認でき次第ただちに新規注文のステータスに代わります。
この段階ではまだユーザーはキャンセルすることができ、店舗が配送予定日を入力すると配送準備に移行します。
梱包や配送業者への依頼などさまざまな業務が配送準備に含まれていますが、この段階になるとキャンセルされにくくなります。
心理的に、ユーザーは「もう発送直前か…」と感じるため、キャンセルを依頼しにくくなるのです。
そのため、受注データが届いたときは、できるだけ早く発送予定日を入力することで、キャンセルを防げます。
オプションを活用
実は、Qoo10で設けられているオプションのなかにも、キャンセルを減らすためのものがあるのです。
たとえば、決済前にユーザーに対して「注意事項」を承認してもらうためのオプションが挙げられます。
注意事項としては、下記のようなものが挙げられます。
- 注文後のキャンセルは受け付けていない
- お届け日の指定はできない
- 開封後の交換はできない など
本来、これらのオプションはカラーやサイズを選択する際に用いられますが、このような使い方もあるのです。
これらの注意事項を了承したうえで購入するため、相対的に質が高いユーザーが集まる傾向にあります。
一方、注意事項の書き方が高圧的だったり、厳しい条件が設けられていたりすると、転換率が低下してしまいます。
また、購入前に作業が増えることから、面倒に感じたユーザーはこの段階で離脱してしまう可能性が高いです。
キャンセル要請の拒否
Qoo10で取り扱われている商品のなかには、オーダーメイド商品も含まれています。
ユーザーは好みの商品の製作を依頼し、店舗はオーダー通りに商品を製作します。
世界にひとつだけの商品に仕上がるため、基本的には顧客満足度が高いことからキャンセルの可能性は低いです。
しかし、それでもユーザー都合でキャンセルをしてくるような人がいます。
このような声は多々あったため、Qoo10では2022年以降、店舗側でキャンセル要請の拒否機能を使えるようになりました。
キャンセル要請の拒否は先述した配送準備ステータスにあるもので、キャンセルするためには店舗に要請しなければなりません。
もちろん、発送済みの商品についてはキャンセルすることができないため、ユーザーは受け取らざるを得ないのです。
なお、拒否機能を使用する際、キャンセル不可の理由がユーザーにも案内されるため、事実と異なる場合クレームにつながります。
適切な理由を提示し、ユーザーに納得してもらったうえで購入・キャンセルしてもらうことが重要です。
キャンセル拒否とは?
先述の通り、キャンセル拒否とは商品準備が完了しているもの、発送が完了しているもの、オーダーメイド品を対象とした機能です。
いずれもユーザー起因のキャンセルであることから、適切な処理をすればペナルティが課せられることはありません。
下記はキャンセル拒否に関するルールのため、運営者はしっかりと理解しておきましょう。
- 販売店によるキャンセル拒否後は当該注文の発送処理を速やかに行う
- 当日中に処理しなかったり、誤った処理を行っていたりすることが確認された場合、ペナルティが課せられる
- 新規注文や配送遅延となった注文は、ユーザーがキャンセル要請をすれば即キャンセルとなる
- 即キャンセルとなった注文に対して、キャンセル拒否機能を利用することができない
- キャンセル拒否を行う際には拒否理由の選択ができるが、ユーザーにも内容が通知される
特に、最後のユーザー通知については、正しく処理をしなければクレームにつながるため、注意しましょう。
クレームを抑えるためには、事前にユーザーへ案内メッセージを送ることが重要です。
「後日こんなメールが届きます」といった旨を伝えることで、ユーザーの混乱を防ぎ、不快感を与えずに済みます。
商品ページに注意書きを記載しておくことも有効ですが、文章や項目数には注意しましょう。
キャンセル拒否はユーザーの了承なしで行えるため利便性は高いですが、対応を間違えると大きなクレームになります。
そのため、拒否を行う際には細心の注意を払った対応を心がけましょう。
まとめ|正しい処理をしていれば、ペナルティは受けない
こちらの記事では、Qoo10における「配送遅延ペナルティ」について解説しました。
Qoo10における「配送遅延ペナルティ」とは、Qoo10が独自に設けている配送ルールを守らなかったとき、お店に課せられる罰則になります。
配送遅延ペナルティには「注意」「警告」「制限」の3種類があり、一番重い制限になるとアカウントが停止します。
発送可能日をチェックする・顧客都合の場合は都度申告する・お届け希望日を設定する・年末年始などの大型連休に注意することで、ペナルティを抑えられます。
また、ユーザー起因によるキャンセルの場合、正しい処理を行えばペナルティを回避できます。
とはいえ、キャンセルは機会損失となってしまうことから、下記を実施しておくことでキャンセルそのものを防げます。
- 発送予定日を入力
- オプションを活用
- キャンセル要請の拒否
ペナルティを回避し、注文を受けた商品を期日内に配送することで、信頼と売上を獲得できるのです。